Stripe(ストライプ)はシンプルな定額料金制なので、スモールビジネスにおすすめの決済処理サービスとして紹介されています。
料金体系は明確ですが、多くのビジネスは「Stripeでどれくらいの手数料がかかるだろう」と計算に悩むと思います。 というのも、デビットカード・クレジットカードとデジタルウォレット以外での決済は、追加手数料が発生するからです。さらに、請求書やサブスクリプション、税金の自動徴収などの費用もかかります。
Stripeの手数料は他社と比べて高いほうです。 もちろん、起業したばかりで取引量が少ない場合は「使った分だけ」の従量課金制は便利でしょう。しかし、取引量が増えていくにつれてコストがかさんでいきますから、平均以上の手数料を支払うほどの価値はないと感じるはずです。
では、Stripeの手数料と料金体系について詳しく見ていきましょう。
Stripeの料金体系について Stripeは、シンプルな定額料金制の「標準プラン」と、取引量の多い事業者向けの「カスタムプラン」の2つがあります。 Stripeの定額プランはほとんどのユーザーが利用できますが、カスタムプランは大企業向けです。ただし、「大企業」と見なされるにはどのような基準を満たせばいいのか公表されていません。この記事の後半でカスタムプランの手数料を解説しますが、基本的に定額料金プランの手数料を紹介してきます。
Stripeの主な決済手数料
Stripeの手数料は定額料金制で、月額費用や初期費用はかかりません。 また、追加機能はそれぞれ決済ごとの手数料が発生します(従量課金という形で決済手数料を支払うということです)。多数のコア機能を追加料金なしで利用できるため、予算が限られているスモールビジネスの間でStripeが人気なのは納得できます。
Stripeは感心するほど機能が充実しています
Stripeを利用する際の主な決済手数料は次のとおりです。
上記の手数料を見ると、それほど悪くないと思うかもしれません。
ECサイトで 10,000円 の商品を販売したとすると、手数料は 360円 です(Stripeの追加サービスを利用しない場合)。 カード決済手数料は平均以上ですが、許容範囲内でしょう。新しいスモールビジネスも支払えるレベルです。Adaptive Acceptance(取引の承認率を改善する機械学習ツール)は手数料が安いので、承認率が気になるビジネスは迷わず追加すべきでしょう。
しかし、外国通貨で支払いを受ける場合、追加手数料がかかるため、決済ごとの手数料は1.5倍以上になってしまいます。 他社の場合、国際決済でも手数料は1%しか高くならないことがほとんどです。Stripeだと合計2%も加算されますから、平均をはるかに上回っています。
Stripeが対処していないもう1つの問題は、国際決済は一般的に高リスクのアクティビティであることです。確かに、審査なしでStripeに無料で登録できるのは便利ですが、どのような背景で決済が行われたのか分からなければ、国際決済は不正請求のように見えることがあります。アカウントが停止または凍結される恐れがあるわけです。
海外のお客さんからの支払いを受けることが多い場合、
StripeではなくPaymentCloudを選んだほうがよいでしょう。ハイリスクな事業者を専門としており、 手数料を交渉できます 1 。 Stripeの場合、中小企業は手数料をカスタマイズできませんから、PaymentCloudのほうがオトクな可能性が高いと言えます。
また、
決済できなかった場合のコスト、不正請求の異議申し立てを受けた際のコストも検討 する必要があります。
上記の手数料は業界でもかなり安いほうです。 チャージバック手数料の平均値を割り出すのは困難ですが、当サイトの調べでは、2,000~3,000円を請求する決済代行サービスが多いことが分かっています。
Stripeの追加手数料
大半のビジネスは決済処理のほかにもさまざまなソリューションが必要ですが、Stripeの場合、ソリューションごとに追加手数料が発生します。
カードの自動更新やオンライン決済向けの3Dセキュア認証など、無料で含まれるサービスもあります が、「あったら便利」な機能やツールは有料です。
早期入金
Stripeから銀行口座への入金について、2日ごと、毎週、毎月の受け取りが可能です。 高リスクのビジネスは、銀行口座に振り込まれるまで14日間待たなければなりません。他社の決済代行サービスも早期入金したい場合は追加手数料がかかり、Stripeも例外ではありません。
上記の手数料は比較的スタンダードでしょう。
これまで多数の決済代行サービスを検証してきましたが、早期入金の手数料は出金額の数パーセント、あるいは一律の月額制となっていることがほとんどです。 通常、2日で口座に振り込まれるので、「今すぐ入金したい」という場合を除き、上記の手数料を支払う必要はありません。
後払い(BNPL)
Stripeは
KlarnaやAfterpay、Affirmなど、後払いサービス(BNPL:buy-now-pay-later)と連携できる数少ない決済代行サービスの1つです。 BNPLサービスの人気は高まっているものの、手数料が非常に高いというデメリットがあります。(※現在、下記のBNPLサービスは日本で利用できません)
なお、上記の手数料は「取引ごと」ではなく、「支払いごと」に発生します 。これらのサービスをStripeの手数料と比較するために、「お客さんがAffirmを利用して100ドルの商品を購入し、1回25ドルの4回払いで支払った」という例を考えてみましょう。お客さんが25ドルを支払うたびに、企業側に対して1.80ドルの手数料が発生します。100ドルの売り上げに対して7.20ドルの損失があるわけです。Stripeの取引ごとの手数料と比べ、2倍以上のロスになってしまいます。
通常、BNPLサービスの加盟店が負担する手数料は公開されていませんが、
2%~8%が相場です。 「どうしても後払いできるようにしたい」という場合、ほかの決済代行サービスに見積もりを依頼して、分割手数料が安いサービスを探したほうがよいかもしれません。
請求書
Stripe Invoicingツールは役立ちますが、割高になる場合があります
Stripeで請求書を発行するには、
Stripeの請求書ツール(Stripe Invoicing)を使うか、支払い後の請求書を生成する という2つの方法があります。支払い後の請求書とは、支払いリンクまたはStripeで作成した支払いページを通してお客さんが料金を支払った後に生成される請求書のことです。
Stripeの請求書ツールは、StarterとPlusの2段階あります。 Plusでは、カスタマーポータル、料金の自動徴収、自動消し込みなどの追加機能が利用できます。
Stripeのほかの手数料と同様、
スモールビジネスにとっては手頃ですが、ビジネスが成長するにつれてオトク感は薄れていきます。 請求書を時々発行する場合は良いものの、頻繁に発行するのであれば、ほかの決済サービスを選んだほうがコストを削れます。
例えば、Staxは 請求書が月額料金に含まれる 1 ため、取引量が多いビジネスにピッタリです。
Stripe Billing
Stripe Invoicingと同様に、多額のサブスクリプション料金を扱う場合、Stripe Billingは割高です
StripeのBillingツールはサブスクリプション管理サービスです。 Stripe Invoicingのように、Starterという基本プランと、より多くの機能が使える割高のScaleプランがあります。
StripeのInvoicingツールと同様、サブスクリプション製ビジネスを始めたばかりであれば、手数料はそれほど高くありません。
しかし、事業拡大が進むにつれて、上記のツールを追加料金なしで使える決済代行サービスへの乗り換えを検討すべきでしょう。
Stripe Tax
Stripe Taxは、各取引の売上税、VAT、物品サービス税を自動的に計算するツールです。
アメリカなど多数の国の税計算に対応しています。 また、税務申告レポートを生成して、納税を自動化できます。
数か国で事業展開している大企業にとっては役立つツールですが、
このツールが必要なほど大規模なビジネスであれば、他社の決済サービスのほうがコストを削減できます。
セキュリティ
Stripe Radarは業界トップクラスのセキュリティツールですが、それなりのコストがかかります
Stripeで決済ごとに発生する通常料金には、多数のセキュリティ機能が含まれます。もちろん、より多くの料金を支払えば、高度なセキュリティ機能を使えるようになります。例えば、
ポイントツーポイント暗号化(P2PE)、チャージバック保証、Stripe Radar for Teams (機械学習を用いた不正使用対策ツール)が利用可能です。
プランには「Stripe Radar for Teams」の基本版が含まれます。Authorize.netの不正使用の検出・防止スイートのように、
Radar for Teamsではカスタムルールを設定できます 。
セキュリティを強化したい場合、上記の手数料は安いものです。特に、中・高リスクのビジネスに向いています。 チャージバック率が平均以上のビジネスはチャージバック保証があると安心です。不審請求の申し立てがあった場合、Stripeが対象金額と関連する手数料を負担してくれます。
Financial Connections(※日本では利用できません)
Stripeの「Financial Connections」は、金融関連サービスを提供している企業にとって必須のツールです
最後になりましたが、StripeのFinancial Connectionsツールも注目に値します。
ACH(アメリカでの銀行振込)で支払いを受けたり、顧客の銀行口座と連携するにはこのツールを使うことになります。
カスタムプランの手数料
カスタムプランでは、一部の機能の手数料が異なります 。カスタムプランで決済処理すると、決済ごとの手数料は標準プランと違うものの、手数料が共通の追加機能もあります。奇妙なことに、標準プランでは無料なのに、カスタムプランでは有料の機能もあります(3Dセキュア認証やStripe Radarなど)。
Stripeによると、カスタムプランは「
取引額が多い場合や特殊なビジネスモデル 」のためとしていますが、上記の料金体系を検討すると、
大規模なビジネスにStripeはおすすめしません 。カスタムプランの条件を満たすのであれば、ほかの決済代行サービスのほうが手数料が安くつきます。
なかでも、Staxがおすすめです。サブスクリプション制の
Staxなら 決済手数料を最大40%削減 1 できます 。決済ごとに高い定額料金を支払うのではなく、クレジットカード企業のインターチェンジフィーに数セント加算されるだけなのです。月額費用を支払えば必要なソフトウェアをすべて使えますから(一部のアドオンを除く)、コストが予想以上に高くなる心配はありません。
Stripeのその他の機能と手数料 Stripeはほかにも多数の機能があり、この記事で紹介しきれないほどです(それぞれ手数料がかかります)。 例えば、支払いページに独自ドメインを使用したり、自動会計サービスを利用したり、カスタムデータレポートの生成やカードの発行なども可能です。これらの機能はオプションですが、事業に必要な場合は多額の手数料がかかってしまいます。
海外で利用する場合にStripeの定額料金制をおすすめしない理由
S&P Globalの調査によると、「普段、デビットカードで支払っている」という消費者は半数以上で、所得が高い消費者ほどクレジットカードではなくデビットカードを使う傾向があることが分かっています。
デビットカード取引の卸売インターチェンジ料率(カード発行会社が請求する手数料率)は、Stripeの定額料金よりはるかに低いのです。
このことを踏まえると、ほかに選択肢がない限り、定額料金制のStripeを利用するのは賢明とは言えません。大半のカードでは、非常に高い決済手数料がかかってしまいます。
唯一の例外は、「プレミアムクレジットカードでの支払いが大多数で、カードの卸売インターチェンジ料率がStripeの定額料金より高い」という場合です。
定額料金制は絶対に損というわけではありませんし、Stripeはメリットが全くないとは思いません。しかし、定額料金制の最大のメリットはStripe自体からくるものです。
予算が限られているビジネスにStripeが向いている理由は、定額制だからではなく、月額費用がかからず、料金体系が明確で、大半の機能はオプションであるからです。 また、審査なしで加盟店登録ができるので、新しいビジネスにも便利です。
Stripeの代わりにおすすめの決済サービス
Stripeの料金体系から利益を得られるビジネスは少ないため、代わりに下記の決済代行サービスをおすすめします。
Leaders Merchant Services:予算が気になるビジネスにおすすめ
Leaders Merchant Servicesは低コストで、審査を通りやすい決済代行サービスです
Stripeは手数料が平均以上なので、たまにしか支払いを受けない場合は良いかもしれませんが、頻繁に決済する場合はLeaders Merchant Services(LMS)のほうが向いています。
LMSはクレジットカード手数料、決済手数料、月額費用が安いので、「予算が限られていて、高額な初期費用は払えない」という場合にピッタリです。 LMSの場合、使いたいソフトを選んでその分の追加料金を支払うため、ニーズがあまり複雑でなければ、コストを低く抑えることができます。
審査が通るか不安な場合も、LMSなら登録できるかもしれません。
LMSは 審査通過率が98%とかなり高い 1 うえ、同日導入も可能なので、新しいビジネス、格付けが低いビジネス、中リスクと見なされたビジネスも審査が通りやすいのです。
PaymentCloud:高リスクのビジネスにおすすめ
上記はリスクが高いビジネスの手数料です。リスクが低ければ、手数料も下がります
多くの決済代行サービスと同様、Stripeは高リスクの業種は禁止しています(ギャンブルやCBDを含有する製品を扱うビジネスなど)。Stripeにリスクが高いビジネスと見なされた場合、警告なしでアカウントがいきなり停止される場合があります。
そうなると、MastercardのMATCHリスト(高リスク加盟店)に自分のビジネスが追加されてしまい 、選べる決済代行サービスがさらに限られてしまいます。
PaymentCloudは ハイリスク事業におすすめの決済代行サービス 1 なので、このような状況を避けることができます。 PaymentCloudの定額手数料はStripeより高いものの、その分、安心感があります。チャージバック保証とカスタマイズ可能な不正請求の検出・防止サービスも含まれます(Stripeの場合、これらのツールは追加料金がかかります)。また、PaymentCloudは異議申し立てのうち、最大70%を勝てるように支援すると約束しています。チャージバック率が平均以上で、ハイリスクな事業者に最適です。
Stax:取引量の多い企業におすすめ
Staxはサブスクリプション制なので、大企業に適しています
ほかの決済代行サービスはクレジットカード会社のインターチェンジフィーに手数料を上乗せした料金を請求することがほとんどですが、Staxは違います。定額の月額費用のうえに、クレジットカード企業の卸売インターチェンジフィーと少額の決済手数料を取引ごとに支払うことになります。確かに、スモールビジネスにとってはStripeほど安くはないかもしれません。しかし、
毎月の売上が 8,000ドル(およそ117,000円) 以上であれば、 Staxのほうが最大40%オトク 1 です 。
Stripeとは違い、
Staxなら、請求書やサブスクリプション管理など、主なソフトウェアツールを追加料金なしで使えます 。追加料金が発生するのは、同日入金、カスタムブランディング、会計の自動化などのオプションを追加した場合のみです。また、Stripeのハードウェアは高額ですが、Staxの場合、ほかの決済代行サービスに乗り換えてもデバイスを使い続けることができます。
Payment Depot:中規模ビジネスにおすすめ
Payment DepotはStaxとほぼ同じサービスを、より低価格で提供しています
ビジネスが成長するにつれて、Stripeはメリットよりデメリットのほうが多くなってしまいます。そのような状況では、Payment Depotがピッタリです。
Payment Depotは サブスクリプション制で、妥当な価格 1 なので、決済手数料を毎月数百ドルも削減できます。 Staxと同様、定額の月額費用と、卸売インターチェンジフィーと少額の決済手数料を支払います。また、必要なソフトを追加料金なしで利用できます。
Staxとは違い、独自ソフトは提供していません。
Payment Depotは格安のサブスクリプション制サービスなので、オプションでAuthorize.netなどのサードパーティソフトを入手することになります。 しかし、それほど不便ではありません。ツールはしっかり厳選されており、Staxの子会社として期待通りの素晴らしいサービスとなっています。
Stripeの手数料は妥当?
Stripeは定額料金制で、料金体系が明確なので、起業したばかりのスモールビジネスや、たまにしか取引しない企業に向いています。 取引ごとに定額の手数料が発生し、追加機能もすべて取引ごとに請求されることを考えると、Stripeは「売れた分だけ手数料を支払えばOK」という無駄のない決済代行サービスと言えます。
しかし、
ビジネスが成長し、より多くの支払いを受けるようになると、Stripeはコストがかさんでしまいます。 特に、リスクの高い業種のビジネスにとっては損です。Stripeは審査なしで加入できるので、少しでもリスクのある取引が行われると、アカウントが直ちに削除される恐れがあります。
このことを踏まえると、
すでに軌道に乗っている企業にStripeをおすすめすることはできません。 どのような業種でも、
Stripeの代わりにおすすめの決済代行サービス のほうが手数料を削減できます。
よくある質問
Stripeで支払いを受けた場合、手数料は無料ですか?
Stripeは無料で導入できますが、支払いを受けると決済ごとに手数料が発生します 。手数料の総額は、支払い方法と、必要な追加機能の数によります。
Stripeより安い決済処理サービスはありますか?
頻繁に支払いを受ける場合、Stripeの代わりにおすすめの決済代行サービス のほうが、手数料がはるかに安くなります。
StripeはPayPalの代わりに利用できますか?
場合によります。StripeとPayPalはどちらも決済代行サービスですが、デジタルウォレットとして利用できるのはPayPalだけです。Stripeの場合、アカウントの残高を使うには銀行口座に入金されるのを待たなければなりません。とは言え、どちらも決済代行サービスとしてはおすすめしません。定額料金制なので、両方とも手数料は平均以上 です。大半の企業は損をしてしまいます。
Stripe手数料の削減方法は?
Stripeの手数料を削減する方法は主に2つあります。1つ目は、カスタム料金に申し込むこと。承諾されるには、取引量が多い、取引額が高い、あるいは「特殊なビジネスモデル」を採用している必要があります。
2つ目は、2024 年におすすめのクレジットカード決済代行サービス TOP10ランキング をチェックすること。 企業形態、規模、業種などによらず、手数料がStripeよりはるかに安い決済代行サービスを紹介しています。