Google Cloud Platform(GCP)を使用したWordPressホスティングサービスにサイトを移行する価値はあるのでしょうか?それとも、長期的に見るとそのままの方が節約になるのでしょうか? 共用レンタルサーバーはWordPressサイトを運営するためにとても役立つサービスですから、「移行する意味があるのか疑問…」と感じている方も多いと思います。クラウドホスティングに移行するのは手間が掛かりますから、そう思うのも納得できます。
ホスティングサービスの多くはクラウドホスティングにスケールアップするよう勧めています。特に、Google Cloud Platform(GCP)のデータセンターは全世界に立地していますし、稼働率が高く、スケーラビリティの面でも優れています。しかし、クラウドホスティングだとそれなりに価格も上がってしまいますし、
あなたのビジネスにとって必ずしもGoogle Cloudホスティング役に立つとは言い切れません 。
今回、GCPに対応しているWordPressホスティングサービスを実際に試し、詳しく調査しました。どのようなメリットがあるのか分析しておすすめのサービスを厳選しています。また、普通のWordPressホスティングプランからクラウドプランに切り替えると価格が高くなりますが、その分の価値はあるのか、コストパフォーマンスも選考に反映しています。
お急ぎですか? Google Cloudを使用したおすすめのWordPressホスティングサービスはこちらです!
Google Cloudを使ったおすすめのWordPressホスティングの評価項目
主に3つの項目を検討してホスティングサービスを評価しました。
特長
高パフォーマンスでスケーラビリティが優れていること以外に、ホスティングの利用体験を向上するのに役立つツールを提供しているのはどのホスティングサービスか調査しました。
リソース
普通の共用レンタルサーバープランよりリソース配分が多いことを確認しました。
サポート
サイトを無料でマイグレーションしてくれるか、サポート体制はきちんとしているかなどを実際に試して確認しました。
コストパフォーマンス
ホスティングのサービス内容と価格を検討し、コスパ抜群のサービスを厳選しています。
Kinstaは共用レンタルサーバーからGoogle Cloud WordPressホスティングへの移行が簡単です。
スタータープランではWordPressを1つインストールでき、月間アクセス数は2万件まで可能です。Proプランだと2つインストールでき、月間アクセス数は4万件にアップします。
これら2つのプランはスモールビジネスにおすすめです。1~2個のサイトを運営していて、「普通の共用レンタルサーバープランでは足りなくなってきた…」という場合に役立ちます 。
3つ目のBusiness 1プランでは5個のサイトをホスティングできます。eコマースやメンバーシップ型サイトにはこのプランが一番安いとKinstaイチオシのプランです。
MyKinstaというKinstaのコントロールパネルは日本語を含め10か国語に対応しています。
プランの制限を超過した場合、超過料金が掛かります。アップグレードを迫られるのではないので息苦しさを感じません。
Kinstaのダッシュボードではリソースの使用量を確認できます。
普通の共用レンタルサーバーと価格を比べてみるとKinstaの方が高くなってしまいますが、サービス内容を検討すると納得できると思います。
私が個人的に運営しているビジネスサイトは通信量が急増することがしょっちゅうあります。そんな時、 Kinstaのホスティングプラン はリソースが充実していてスケーラブルなのでトラブルを避けられています。
エージェンシーの場合、開発のためにコラボレーション機能が必要だったり、サイトを引き渡す必要があるでしょう。そんなケースでは他社のプランの方が適しているかもしれませんが、Kinstaもチームで作業するためにある程度の権限を設定できます。
特長
ハッキング修復保証
ハッキングの被害に遭った場合、Kinstaが不正なコードをすべて除去してくれます。
ステージングサーバー
公開中のサイトはそのままの状態で、サイトのクローンを作成してそちらに変更を加えられます。準備ができたら素早くロールアウトできます。
自己修復PHP
Kinstaは数分おきにサーバーを確認し、トラブルがあるとPHPを再起動してくれます。
自動・手動バックアップ
毎日行うバックアップをダッシュボードから復元したり、オンデマンドでスナップショットを作成したりできます。
無料SSL
ユーザーのデータや利用状況を保護するために、HTTPSでロードします。
WP-CLI
コマンドラインでWordPressを実行できるようにするデベロッパーツールです。
特徴について詳しくは
Kinstaの詳細レビュー をご覧ください。
WP EngineのホスティングサービスはWordPressの可能性を最大限に活用したい没入型サイトに適しています。 Google Cloudの次世代仮想マシン(VM)を提供している唯一のホスティングでもあり、普通のGoogle Cloud仮想マシンよりパフォーマンスが40%アップできるそうです。他にも、デベロッパーツール、分析ツール、トラブルの修復、Genesis Framework(ジェネシスフレームワーク)などもサービスに含まれています。
WP Engineはデベロッパーツールを豊富に用意しています。
WP Engineのスタートアッププラン では月間アクセス数25,000件、ストレージ10GB、帯域50GB、1つのサイトにWordPressをインストールできます。ベンチャー企業やブロガー向けでしょう。Growthプランは月間アクセス数10万件、ストレージ20GB、帯域200GB、サイト数は10件で、ビジネス向けです。Scaleプランでは30件のサイトをホスティングでき、アクセス数は40万、ストレージ容量は50GB、帯域は500GBとなっています。
スピードとパフォーマンスにも力を入れているようです。WP EngineはWordPressに最適化されたキャッシュ、CDN、自己修復、自動リカバリなどの特長があります。
WP Engineは
メディアが多く、デザインが主眼の没入型WordPressサイトをホスティングするのが得意 なサービスです。一方、Googleの高性能サーバーネットワークが必要ないビジネスにとってWP Engineは過剰なサービスでしょう。
特長
高パフォーマンスサーバー
WP EngineのサーバーはGoogle Cloudのスタンダードサーバーより最大40%パワフルです。
アドオンで機能を追加
分析や性能アップのためにプレミアムツールを追加してカスタムパッケージを作成できます。
自己修復・自動リカバリ
自動でチェックしてサイトを常にネットで公開しましょう。
EverCache・CDN
ファイルをキャッシングし、サーバーネットワークに分配してロード時間をスピードアップします。
無料SSL
HTTPSで通信のセキュリティ対策とプライバシー保護を。
詳しくは
WP Engineの完全レビュー をご覧ください。
CloudwaysはGoogle Cloud、WordPress、WooCommerceをスムーズに併用できるように最適化しており、従量制で課金しているのも魅力的です 。そのため、Cloudwaysは成長を続けているeコマースサイトにとって手頃なプラットフォームだと言えます。さらに、
3日間無料トライアル もあるので使い心地を試してみることができます。
価格はリソースによって異なります。一番安いプランでは、サイトのRAMが1.7GB、ストレージは20GB、帯域は2GBとなっています。帯域を2GB以上使うと、使用量に応じて従量制で請求されます。下のスクリーンショットのように、アプリケーションを起動した時にリソースをスケールアップできます。
サーバーサイズ、帯域、ストレージを選んでアプリケーションを起動します。
Cloudwaysにはチームでコラボレーションするのに役立つ機能があり、サイト作成のエージェンシーに適しています。サイトやウェブアプリをまとめて作成・管理できるのが便利です 。全プランでステージング機能、無料SSL、24時間年中無休のサポートが利用できます。追加料金を支払えば、プレミアムサポートにアップグレードすることもできます。
Cloudwaysではチームメンバーを追加してコラボレーションすることもできます。
リソースの使用量に応じて支払ったり、スケーラブルということもあり、通信量が多い時間も確実な稼働率を確保できるのは魅力的です 。また、必要なだけアプリケーションをデプロイできるため、プロジェクトごとに異なるプラットフォームをロールアウトできます。
特長
eコマースサイトに最適化
Cloudwaysはネットショップ向けに工夫されています。
アプリケーションが無制限
必要な分だけスクリプトやアプリケーションをインストールできます。
自己修復・スマートリソース最適化
自動でチェックすることでサイトが常にオンライン状態で適切なリソース配分を確保できます。
リソースに応じて従量制
毎月固定価格を支払うのではなく、使用したリソースの分だけ料金が請求されます。
無料SSL
通信のプライバシーを守ります。
詳しくは
Cloudwaysの詳細レビュー をご覧ください。
Templ.ioはWooCommerceとWordPressを主眼にして設計されたプラットフォームで、バックグランドではGoogle Cloudのインフラを使用しています 。プランはすべて無料マイグレーション付きでWordPressサイトを1つホスティングできます。どのプランでも少額の料金を支払えばサイトを追加できます。
長期契約に加入する前に
10日間無料トライアル でお試しください。
Templ.ioでは無料SSL証明書を追加できます。
スモールプランは共用CPU付きでRAMは0.6GB、SSDストレージは10GB、帯域は10GBとなっています。ミディアムプランはRAMが3.75GB、SSDストレージが25GB、帯域が25GBになり、このプランのCPUは共用ではありません。全プランで専用IPを取得できます。
Templ.ioなら5分以内に新しいサイトを作成できます。
WP-CLIだとデベロッパーがコマンドラインでWordPressを管理できます。複雑なネットショップだと効率的に管理できることが重要になってきますから、魅力的です。Templ.ioは成長を続けているサイトが素早くスケーリングできることを約束しており、サイトの通信を保護してスピードアップできるQUICに対応しています。
環境に配慮したホスティングに興味がある方は、Templ.ioはカーボンニュートラルな企業なのが良いですね。また、
全プランで電話サポートを利用できるのは便利ですが、残念ながら日本語には対応していません 。電話番号を見つけやすいのは珍しいと思います。
特長
eコマースサイトに最適化
Templ.ioはWooCommerceのパフォーマンスが最高になるようなプラットフォームを提供しています。
サイトを追加しやすい
プランにサイトを追加するたびに少額の手数料を支払うだけです。
無料SSL
ドメインを素早く追加してSSL証明書を生成できます。ページを安全にロードするのに便利です。
カーボンニュートラル
Templ.ioは環境に配慮していることを売りにしています。
Themecloud.ioはGCPを使ってWordPressを提供しており、この記事で一番安いのが特徴です 。ただし、1つだけデメリットがあります。一番安いプランでは稼働率保証がないのです。これについてサポートに問い合わせたところ、平均で99.9%の稼働率が期待できるそうです。
Themecloud.ioのライブチャットで質問したところ、一番安いプランに稼働率保証はないそうです。
Persoプランはとても安いのが気に入りました 。WordPressのインスタンスは1つ、帯域は25GB、ストレージは10GBです。1つ上のプランの場合、ストレージは10GBでPersoプランと同じです。帯域は100GBとなり、稼働率保証が付きます。価格はPersoプランの2倍です。
Themecloud.ioは全プランで毎日バックアップが行われます。他にもAstra Proというセキュリティサービス付きで、サイトをハッキングされたときに無料で修復できます。このサービスはありがたいですね。さらに、エージェンシーであればブランディングをダッシュボードに埋め込むことができ、ステージングサイトはカスタムドメインにすることもできます。
再販ホスティングの利用者はこのようなパッケージが適しています 。
Themecloud.ioのサイトは使いにくいと思いました。英語版サイトでもフランス語で表示されることがあり、他にどのような機能があるのかきちんと把握できませんでした。サポートは思ったより対応が遅く、チャットの返信に40分も掛かりました。
特長
ステージング機能
サイトのクローンをワンクリックで作成でき、公開中のサイトに影響を与えずに変更を加えられます。
短期もOK
1年は長過ぎるという場合、毎月支払いのホスティングプランもあります。
無料SSL
サイト全体を保護し、利用者のプライバシーを守ります。
デモサイト
WordPressのテンプレートサイトから始めれば、ワンクリックで作業を開始できます。
ビジネスニーズに合ったホスティングを選ぶのが重要
Google Cloudを使用したWordPressホスティングプランはスケールや特長が大きく異なります。この記事でご紹介したホスティングサービスは、特定のユーザー層をターゲットにしたプランを提供していますから、
サイトの利益になるような特徴があるホスティングサービスを選ぶことが重要です 。
ビジネスサイトなら
Kinsta はアップグレードしやすいので便利です。WordPressに精通していますし、利便性、簡単に管理できることなどに力を入れているようです。忙しいベンチャー起業家にとっては重要ポイントでしょう。
WP Engine はリソースをたくさん必要とするサイトに向いています。他のホスティングサービスではうまく行かないような重いサイトでもこのプラットフォームなら成功できるはずです。
クラウドの柔軟性とスケーラビリティが必要なエージェンシーには
Cloudways が一番多目的で役立つプラットフォームだと思います。従量制なのでコストを管理しやすいのも便利です。
よくある質問
1. Google Cloud PlatformでWordPressサイトをホスティングできますか?
できます。GCPに直接WordPressをインストールするか、Kinsta や Cloudways など、Google Cloudを使用しているホスティングサービスを利用するという方法があります。すでにGoogle Cloudについてよく知っているという場合は前者でもOKですが、ホスティングプロバイダを選ぶとサイトの管理を任せられ、便利なサービスやツールを利用できます。
2. Google Cloud PlatformでWordPressを構築する方法は?
Google Compute Engineを使ってGoogle Cloud PlatformにWordPressサイトを1つインストールできます。また、アクセス数が多くて成長を続けているサイトはKubernetesなどコンテナベースの方法でインストールすることもできます。コンテナからWordPressをインストールするには技術的なノウハウが必要になりますが、この記事でご紹介したマネージドWordPressホスティングサービスを利用すれば、インストールや管理を任せられるので簡単です。
3. Google Cloudにサイトをホスティングできますか?
はい、Google Cloudは静的なHTMLサイトから複雑なウェブアプリまで様々なサイトに対応しています。普通の共用レンタルサーバーでサイトをホスティングするのと作業は少し違いますが、多くのウェブホスティングサービスは無料マイグレーション・管理サービスがあるのでGoogle Cloud Platformの技術的な部分を自分で行う必要はありません。
他におすすめのホスティングサービスをお探しの方はおすすめのレンタルサーバー の記事をご覧ください。
4. WordPressにおすすめのホスティングサービスは?
簡単なWordPressサイトやブログは低価格の共用レンタルサーバープランでホスティングできます。サイトが成長し始めたらマネージドWordPressホスティング やクラウドホスティングへのアップグレードを検討すると良いでしょう。Google Cloudはリソースがスケーラブルで、カスタム管理ツール、稼働率保証などがあります。